会期:2025年9月6日(土)~ 11月24日(月・振休)
特別展MINGEI ALIVE -いま、生きている民藝
駒井正人《土瓶》 2020年
今からおよそ100年前、宗教哲学者の柳宗悦(1889-1961)によって提唱された「民藝(民衆的工藝の略)」。それは、日々の暮らしに寄り添うものに美を見いだすという、新しい価値観であり、提案でした。その対象とされたのは、用途に即してつくられた「手仕事」による生活道具。それは、近代化にともない、失われつつあるものでした。しかし、民藝が目指したものとは、手仕事をそのまま保護するというよりも、その精神を正しく受け取り、新しい生活スタイルに合ったものづくりへと導いていくことであり、何よりも「生活の芸術(アート)」という、私たちが心豊かに生きていくうえで欠かせないものを手放さないという、一つの哲学であったのではないでしょうか。
生活道具の中でも、特に使用頻度の高い「器(うつわ)」は、民藝の「現代性」を体現するものといえるでしょう。民藝では、名も無き職人の手仕事、つまり「無銘性」が唱えられたことで、ともすると、個人作家の美意識によってつくられたものを否定しているかのように思われがちですが、民藝の思想を深く理解し、その根幹を支え、現代へと橋渡しをしたのは、なんといっても、優れた創造性を持つ個人作家たちでした。その意味で、民藝はまた、現代において、実用品も手がける個人作家の存在意義を確かなものにしているとも考えられます。民藝は、技術でもなければ、スタイルでもない。そのことをいま一度、考えてみたいと思います。
本展では、富本憲吉(1886-1963)、バーナード・リーチ(1887-1979)をはじめとする当館の現代陶芸コレクションの核となっている個人作家の器作品を展観しながら、当時、先鋭的なモダニストでもあった柳が見つめた民藝の本質について、現代の視点から再考することを試みます。さらに、「いま、生きている民藝」の諸相について、現代の作家たちがつくりだす様々な作品を通して、いま、私たちが豊かで幸せであると思える暮らしと、そこに息づく「生活の芸術(アート)」について、思いを寄せる機会とします。
概要
展覧会名 |
MINGEI ALIVE-いま、生きている民藝 |
会期 |
2025年9月6日(土)~ 11月24日(月・振休) |
休館日 |
月曜日 ※ただし9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館し、9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)は休館。 |
開館時間 |
10:00~17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 |
兵庫陶芸美術館 展示室1・2・4・5 |
観覧料
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個人 Individual |
団体 Group |
一般 Adult |
¥1,300 |
¥1,000 |
大学生 University/College |
¥1,000 |
¥800 |
・高校生以下は無料です。
・20名以上の場合は団体割引料金になります。
・70歳以上の方は半額になります。
・障害のある方は75%割引、その介助者1名は無料になります。
・Free admission for High / Junior high / Elementary school students and Preschool-age children.
・Group : 20 or more people.
・Half price for visitors aged 70 or older. (Show identification proving your age)
・Discount admission for one with disabilities, and free admission for one caregiver. (Show identification notebook for the disabled)
- 主催
- 兵庫陶芸美術館、神戸新聞社
- 後援
- 兵庫県、兵庫県教育委員会
- 協力
- 丹波立杭陶磁器協同組合
主な出品作品
1.朝鮮 《白磁壺》 18世紀前半 日本民藝館
2.富本憲吉 《色絵金銀彩四弁花文蓋付飾壺》 1956年 兵庫陶芸美術館
3.河井寬次郎 《土瓶&湯碗各種》 1931-49年頃 河井寬次郎記念館
4.ルーシー・リー 《鉢》 1951年頃 兵庫陶芸美術館
5.安藤雅信 《泥釉シリーズ茶器揃》 2024-2025年
6.市野雅彦 《器》 2019年
7.内田鋼一 《White Bowl》 2018年
8.清水剛 《刻紋銀彩向付》 2019年 土岐市
9.新宮さやか 《萼容 碗》 2025年
10.駒井正人 《土瓶》 2020年 撮影:Shugo Hayashi
11.田中雅文 《series CLOUD 5》 2018年
12.打田翠 《心象》 2024年 撮影:Masashi Kuromoto
関連企画
◆当館学芸員によるギャラリートーク
日 時: 9月20日(土)、10月18日(土)、11月1日(土)、11月22日(土)
いずれも11:00から1時間程度 ※参加には当日の観覧券が必要です。
同時開催
テーマ展:丹波焼の世界 season9
2025年1月2日(木)~2026年2月23日(月・祝)
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