土と語る、森の中の美術館 兵庫陶芸美術館 The Museum of Ceramic Art, Hyogo

展覧会情報

会期:2017年12月9日(土)~2018年2月18日(日)

テーマ展2017年度著名作家招聘事業×テーマ展 「松本ヒデオ展-囲み取って賞でる〈陶の風景庭園〉」

《囲み取って賞でる X》1992 滋賀県立陶芸の森 陶芸館 蔵 photo:Osamu Watanabe

 兵庫陶芸美術館では、国内外で活躍する著名な作家を招聘し、若き作り手たちに刺激を与えるとともに、幅広い人々により深く陶芸に親しんでいただくため、2006年より「著名作家招聘事業」を実施しています。第12回となる今回は、1980年代後半頃より現代陶芸の若き旗手として注目を集め、独自の世界観を示す大型作品で異彩を放っている気鋭の作家・松本ヒデオ氏(1951- )をお迎えします。
 東京農工大学農学部に在学中の1970年代初め、図書館で京焼の名工・尾形乾山(1663-1743)の本を見て、陶磁器に惹かれていった松本氏は、同大学卒業後の1976年、25歳で京都市立芸術大学美術学部工芸科へ入学し、戦後の前衛陶芸を牽引してきた八木一夫(1918-1979)、鈴木治(1926-2001)らの薫陶を受けました。そこで、器や用途だけでない、様々な造形表現へと広がりを見せていた現代陶芸の世界を知り、磁土や石膏型などの伝統的な素材や技法を駆使しつつ、独自のコンセプトと手法により、ユニークな造形を生み出してきました。
 1984年にヨーロッパへ渡り、2年間、ハンガリーやドイツなどで制作を続けながら、素材に対する新たな概念と、作品の中に存在する個人的環境や解釈の重要性を確信した松本氏は、帰国後、制作に取りかかった《囲み取って賞でる》シリーズで頭角を現わし、今日まで国内外で精力的に発表を続けています。《囲み取って賞でる》とは、「自然のままの風景に境界線を引くことで私的な庭園空間を創り上げる」という、古来の日本庭園の方法論からインスピレーションを得たもので、「情報過多の時代、自分に入る情報を削除せず、体験した〈もの〉、知識としての〈こと〉、素材、技法、同時代性、環境など、自分の領域に入ってくる、あるがままの情報風景に、テーマの境界線を引き、作品を導き出す」という作家の重要な根幹を成す制作論となっています。
 本展は、石膏板や合板に磁土を押しつけ、表層に現われたマティエール(材質的効果)を活かした板状のパーツを組み合わせて、心象風景とも、近未来風景ともいえるような、大型のパノラマ空間を創り上げた1990年代の代表作《囲み取って賞でるX》(1992年)から、近年、削り片や糸状の土、ガラスなどの素材を用いることで、表層のディテール(細部)がさらに複雑なものとなり、その連鎖や相互効果により、幻想的なかたちが導かれていく作品まで、大型作品8点によって、松本氏の創造の世界を展観するものです。

作家プロフィール

松本ヒデオ
Hideo Matsumoto

 

1951 京都府に生まれる
1982 京都市立芸術大学大学院美術研究科
    陶磁器専攻修了
1984 ケチケメート国際陶芸スタジオにて研修(ハンガリー)
1985 シュトゥットガルト美術アカデミー(ドイツ)
1989 第2回国際陶磁器フェスティバル美濃 銅賞
1991 国際現代陶芸展―変貌する陶芸(滋賀県立陶芸の森 陶芸館)
1994 クレイワーク展(国立国際美術館、大阪)
2008 第21回京都美術文化賞
2011 第6回パラミタ陶芸大賞展(パラミタミュージアム、三重)

概要

展覧会名 2017年度著名作家招聘事業×テーマ展「松本ヒデオ展-囲み取って賞でる〈陶の風景庭園〉」
Appreciate by surrounding 〈Picturesque garden in ceramics〉
会期 2017年12月9日(土)~2018年2月18日(日)
休館日 月曜日、12月31日(日)、2018年1月1日(月・祝)
ただし2018年1月8日(月・祝)と2月12日(月・振休)は開館、
1月9日(火)と2月13日(火)は休館。
開館時間 10:00~18:00 (入館は閉館の30分前まで)
会場 兵庫陶芸美術館 展示室1
観覧料
  個人
Individual
団体
Group
夜間(17:00~)
Evening
一般
Adult
¥600 ¥500 ¥300
大学生
University/College
¥500 ¥400 ¥250

同時開催中の特別展の料金に含まれます。(本展のみをご覧いただくことはできません。)
特別展「ひょうごの古陶めぐり―瀬戸内・淡路―」 2017年12月9日(土)~2018年2月18日(日)
 一般 600(500)円、大学生 500(400)円、高校生以下 無料
( )内は特別割引および20名以上の団体割引料金です。

※本展のみの観覧券はありません。
○70歳以上の方は半額になります。
○障害のある方は半額、その介助者1名は無料になります。
○17:00以降に観覧される場合は夜間割引料金になります。(一般 300円、大学生 250円)


主催
兵庫陶芸美術館、丹波新聞社

主な出品作品

  1. 《囲み取って賞でる X》1992 滋賀県立陶芸の森 陶芸館  photo:Osamu Watanabe
  2. 《囲み取って賞でる XVI》2004 photo:永田 陽
  3. 《囲み取って賞でる XVIII》2007 photo:永田 陽
  4. 《Plant Hunter》2008 photo:OMOTE Nobutada
  5. 《囲み取って賞でる XX》2011 photo:OMOTE Nobutada
  6. 《Subterranean Cloister》2015 photo:OMOTE Nobutada

関連企画

松本ヒデオ氏によるアーティストトーク

  • 日時:2018年1月13日(土)11:00~12:00
  • 講師:作家 松本 ヒデオ 氏
  • 場所:兵庫陶芸美術館 展示棟B1 「松本ヒデオ展」会場
  • 参加費:事前申込不要、参加費無料(ただし観覧券が必要)
詳細はこちら
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松本ヒデオスライドレクチャー「囲み取って賞でる」<ディテールの連鎖>1980-2017

  • 日時:2018年1月13日(土)14:00~15:30 ※開場 13:30
  • 講師:作家 松本 ヒデオ 氏
  • 場所:兵庫陶芸美術館 研修棟1F セミナー室
  • 定員:100名(事前申込み制・先着順)
  • 参加費:無料(ただし観覧券の半券が必要)
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詳細はこちら(PDF)
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【受付終了しました】松本ヒデオワークショップ「ディテールの連鎖」

  • 日時:2018年1月20日(土)・21日(日) 全2日間      全日 10:30~16:00
  • 講師:作家 松本 ヒデオ 氏
  • 場所:兵庫陶芸美術館 エントランス棟1F 工房
  • 定員:15名(事前申込み制、応募者多数の場合抽選)
  • 参加費:無料(別途交流会での茶菓子代500円必要)
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詳細はこちら(PDF)
WEB申込はこちら

当館学芸員によるギャラリートーク

12月10日(日)、2018年1月14日(日)、2月18日(日)

いずれも11:00より(観覧券が必要です)

図録

182×270mm  16ページ   ¥200(税込)

*展覧会初日より会場にて販売。


同時開催

テーマ展:丹波焼の世界

2017年5月27日(土)~2018年3月31日(土)

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特別展:兵庫県政150周年記念事業 「ひょうごの古陶めぐり-瀬戸内・淡路-」

2017年12月9日(土)~2018年2月18日(日)

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