会期:2025年12月6日(土)~ 2026年2月23日(月・祝)
特別展丹波焼の美 -田中寛コレクションを中心として-
左から順に:
《赤土部徳利》 江戸時代前期(17世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
《灰釉四耳壺》 江戸時代前期(17世紀) 兵庫陶芸美術館
《色絵桜川文徳利》 江戸時代後期(19世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
《壺》 室町時代中期(15世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
《壺 銘「猩々」》 鎌倉時代(13世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
《色絵立鶴文徳利(一対)》 江戸時代後期(19世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
兵庫陶芸美術館は、全但バス株式会社社長の田中寛氏(1904~81)が収集した丹波焼(丹波篠山市など)と兵庫県内産の陶磁器のコレクションを引き継ぎ、2005年、丹波焼の里に開館しました。
丹波焼は、平安時代末期に常滑焼(愛知県)など東海地方の窯業技術を取り入れて操業を開始し、中世には壺・甕・擂鉢を中心に無釉の焼締陶器を生産しました。この時期に作られたものは、焼成によって茶褐色に発色した土肌や窯の中で燃料の薪の灰が器肌に降りかかり、それが溶けてガラス化することによって現れた鮮緑色の自然釉が見どころとなっています。
近世には、窖窯から登窯へと窯の構造が転換し、土部の塗布や釉薬の施釉など、多彩な装飾技法を取り入れて色鮮やかな世界を展開しました。江戸時代前期には、赤茶色に発色する赤土部や緑がかった褐色の灰釉が器面を彩りました。江戸時代中期には、茶色の栗皮釉や漆黒の石黒釉が生み出されました。また、江戸時代後期には、精緻な薄手の器に白土を塗土した白丹波が作られました。各時代の求めに応じて変化してきた丹波焼は、2017年に日本六古窯の一つとして日本遺産に認定され、2018年には田中寛コレクションの丹波焼が兵庫県指定重要有形文化財に指定されました。
本展は、開館20周年を迎えるにあたり、当館のコレクションの母胎である田中寛コレクションを中心として、氏が情熱を注いで現代に受け継いだ丹波焼を紹介し、その魅力に迫ります。
展覧会の特徴
1.全国有数の丹波焼コレクション
「田中寛コレクション」の丹波焼は、質や量ともに全国有数の丹波焼コレクションを形成しています。本展では、丹波焼が誕生した平安時代後期から発展を遂げた室町時代、さらには新たな展開を見せた江戸時代、続く明治時代までの丹波焼を紹介します。
2.器肌に表れた多彩な表情
自然釉とは、焼成の際、燃料となる薪の灰が器面に降りかかり、それが溶けてガラス質の釉薬のようになったものです。焼成温度や炎の影響を受けて、濃淡のある緑色を呈した釉流れや表面が焦げて黒ずんだ様子など、器肌に多彩な表情を見せます。他方、赤土部は、容器の水漏れを防ぐために器面に土部を塗ったものが赤く発色したもので、丹波ではこれを赤土部と呼んでいます。火表(ひおもて)と火裏(ひうら)で器肌の発色に微妙な違いが生じ、グラデーションが表れます。自然釉の素朴な味わいや赤土部の色合いなど、個々で異なる器肌の表情が見どころです。
3.バラエティに富んだ装飾技法
丹波では、江戸時代に至り土部の塗土とともに灰釉の施釉が行われるようになり、多彩な装飾技法が展開されました。初期には灰釉が、中期には栗皮釉やいわゆる石黒釉が器面を彩りました。後期には、器面に白土を塗土して白色の器肌の白磁をめざした白丹波が生み出され、その上から色絵具や鉄絵で文様を施した洗練されたやきものが作られました。それぞれの釉薬とともに用いられた「貼付(はりつけ)」や「釘彫(くぎぼり)」、「筒描(つつがき)」など、さまざまな器面装飾をお楽しみください。
概要
展覧会名 |
丹波焼の美ー田中寛コレクションを中心としてー
The Beauty of Tamba Ware |
会期 |
2025年12月6日(土)~ 2026年2月23日(月・祝) |
休館日 |
月曜日、12月31日(水)、1月1日(木・祝)※ただし1月12日(月・祝)、2月23日(月・祝)は開館し、1月13日(火)は休館。 |
開館時間 |
10:00~17:00 ※入館は閉館の 30 分前まで |
出品点数 |
約100件 |
会場 |
兵庫陶芸美術館 展示室1・2・4・5 |
観覧料
|
個人 Individual |
団体 Group |
一般 Adult |
¥700 |
¥600 |
大学生 University/College |
¥600 |
¥400 |
・高校生以下は無料です。
・20名以上の場合は団体割引料金になります。
・70歳以上の方は半額になります。
・障がいのある方は75%割引、その介助者1名は無料になります。
・Free admission for High / Junior high / Elementary school students and Preschool-age children.
・Group : 20 or more people.
・Half price for visitors aged 70 or older. (Show identification proving your age)
・Discount admission for one with disabilities, and free admission for one caregiver. (Show identification notebook for the disabled)
- 主催
- 兵庫陶芸美術館、丹波新聞社
- 後援
- 兵庫県、兵庫県教育委員会
- 協力
- 丹波立杭陶磁器協同組合
主な出品作品
1.《壺》 室町時代中期(15世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
2.《赤土部徳利》 江戸時代前期(17世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
3.《灰釉手桶形水指 銘「日本海」》江戸時代前期(17世紀)兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)兵庫県指定重要有形文化財
4.《栗皮釉徳利》江戸時代後期(19世紀)兵庫陶芸美術館
5.《石黒釉釘彫梅鶯文徳利》江戸時代中期(18世紀)兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)兵庫県指定重要有形文化財
6.《色絵桜川文徳利》 江戸時代後期(19世紀) 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
関連企画
◆当館学芸員による展示解説
日時:12月20日(土)、1月10日(土)、2月14日(土)
いずれも11時から1時間程度 ※観覧券が必要です。
同時開催
テーマ展:丹波焼の世界 season9
2025年1月2日(木)~2026年2月23日(月・祝)
展覧会詳細ページへ