土と語る、森の中の美術館 兵庫陶芸美術館 The Museum of Ceramic Art, Hyogo

展覧会情報

会期:2021年12月11日(土)~2022年2月27日(日)

特別展やきものの模様-動植物を中心に-

上段左から:有田《染付竹虎文大皿》江戸時代後期 兵庫陶芸美術館(赤木清士コレクション)/富本憲吉《色絵金彩羊歯模様大飾壺》1960年 京都国立近代美術館
下段左から:丹波《色絵立鶴文徳利》(1対) 江戸時代後期 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)兵庫県指定重要有形文化財/幹山伝七《色絵牡丹文チュリーン》明治時代前期 兵庫陶芸美術館

 やきものには、古くからさまざまな模様が描かれてきました。山野に自生する松や竹。森の中を駆け巡る兎や鹿。身近に咲きほこる梅や菊。そこに集う鶯や雀。大空をはばたく鶴や鷹。また、水辺に生える葦や蓮。そこに棲む鷺や鴨。水藻の間を泳ぐ魚や亀。海の中にいる海老や蛸、そしてサメやシャチ。さらには、当時、目にすることが珍しかった虎や象にいたるまで、数多くの動植物が生き生きと描かれ、見る者の目を楽しませてくれます。これらのモチーフとなった動植物の多くは、すでに描かれていた花鳥画をはじめとした絵画などから写し取られたものでした。それと同時に、それぞれの模様には、人々の思いや願いが込められていました。  
 一方、科学的な眼で動植物を観察し、そのエッセンスをもとに、デザインされた模様もあります。陶芸家・富本憲吉(1886~1963)の羊歯(しだ)模様が、その代表のひとつといえます。植物を実際に観察し、忠実に描いた素描から、個性あふれるオリジナルの模様を生み出しました。そして、やきものの模様に「模様より模様を造るべからず」という、新たな発想を持ち込みました。
 このように、やきものの模様には、絵画のような「アート」からアイディアを得た模様と、自然科学の「サイエンス」に着想を得た模様があります。本展では、江戸時代以降に作られた、やきものの模様に込められた願いや思い、また模様が生み出される過程を紹介します。模様が持つ神秘的で奥深い世界を、「アート」と「サイエンス」の双方の眼で観察し、新たな一面を見出す機会とします。

展覧会の特徴

《1》やきものに描かれた多様な動植物

 野山の木々や四季の花々、里や水の中のいきもの。さらには珍獣や空想上の霊獣など。やきものの模様は、あたかも絵画の一場面を切り取ったような情景が器面いっぱいに展開されています。それもそのはず、これらの図様は、山水画や花鳥画などの中国からもたらされた、版本などが元になっています。そこから画題や構図を取り入れ、さらには吉祥の意味を込めて、やきものの器面をキャンバスに見立てて描かれたのです。しかしながら、見れば見るほど躍動感にあふれています。

《2》デザイン化された模様―富本憲吉の植物模様から―

 富本憲吉の羊歯(しだ)や四弁花(しべんか)などの模様は、デフォルメされ、一見デザイン化された文様のようにみえます。ところが、これらは自生する植物をデッサンし、生み出されたものです。そこに注目した兵庫県立人と自然の博物館のシダ植物の研究者が、今回、富本の羊歯模様をサイエンスの眼で見つめ、羊歯の標本からアートへの道のりを解き明かしました。本展は、アートをサイエンスから切り込んだ初めての展覧会です。

《3》アートをサイエンスの視点から読み解く

 やきものに描かれた、生き生きとした魅力あふれる模様の多くは、絵画などをもとに生み出されました。そのようなアートの要素を取り入れたやきものの模様を、植物の標本や動物の剥製と見比べると、自然の姿とは異なることに気がつきます。どこが違うのか、どこがそっくりなのか、サイエンスの眼でアートを探索すると、きっと新たな世界が開けます。

概要

展覧会名 やきものの模様-動植物を中心に-
Design of ceramics -focusing on animals and plants-
会期 2021年12月11日(土)~2022年2月27日(日)
休館日 月曜日、12月31日(金)、1月1日(土・祝)
ただし、1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館し、1月4日(火)、1月11日(火)は休館
開館時間 10:00~18:00
※入館は閉館の30分前まで
出品点数 約100件
会場 兵庫陶芸美術館 展示棟 展示室2、4、5
観覧料
  個人
Individual
団体
Group
夜間(17:00~)
Evening
一般
Adult
¥600 ¥500 ¥300
大学生
University/College
¥500 ¥400 ¥250

・高校生以下は無料です。

・20名以上の場合は団体割引料金になります。

・70歳以上の方は半額になります。

・障害のある方は75%割引、その介助者1名は無料になります。

・17:00以降に観覧される場合は夜間割引料金になります。

 

・Free admission for  High / Junior high / Elementary school students and Preschool-age children.

・Group : 20 or more people.

・Half price for visitors aged 70 or older. (Show identification proving your age)

・Discount admission for one with  disabilities, and free admission for one caregiver. (Show identification notebook for the disabled)

・Evening discount admission: from 17:00.


主催
兵庫陶芸美術館、神戸新聞社 【共催】兵庫県立人と自然の博物館
後援
兵庫県、兵庫県教育委員会、丹波篠山市、丹波篠山市教育委員会、丹波市、丹波市教育委員会、公益財団法人 兵庫県芸術文化協会、公益財団法人 兵庫県国際交流協会
協力
丹波立杭陶磁器協同組合

主な出品作品

  1. 丹波 《色絵立鶴文徳利》(1対) 江戸時代後期 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)兵庫県指定重要有形文化財
  2. 有田 《染付竹虎文大皿》 江戸時代後期 兵庫陶芸美術館(赤木清士コレクション)
  3. 神戸絵付 《色絵花鳥図輪花皿》 明治時代後期~昭和時代 兵庫陶芸美術館
  4. 幹山伝七 《色絵牡丹文チュリーン》 明治時代前期 兵庫陶芸美術館
  5. 三代清風与平 《色絵百花錦文煎茶碗》 明治時代~大正時代 兵庫県立美術館(頴川コレクション)
  6. 出石 《色絵蔬菜文耳付瓶》 明治時代後期 兵庫陶芸美術館
  7. 富本憲吉 《赤絵羊歯模様大角陶板》 1935年 奈良県立美術館
  8. 富本憲吉 《色絵金彩羊歯模様大飾壺》 1960年 京都国立近代美術館
  9. 富本憲吉 《羊歯(素描)》 1910~1920年代 京都市立芸術大学芸術資料館

関連企画

記念講演会「富本憲吉の羊歯模様はどのように生み出されたのか」

  • 日時:2022年2月5日(土)13:30~15:00
  • 講師:鈴木武氏(兵庫県立大学講師・兵庫県立人と自然の博物館研究員)
  • 場所:兵庫陶芸美術館 研修棟1階 セミナー室
  • 定員:50名(事前申込制、先着順)
  • 参加費:無料 ※ただし、観覧券(半券可)が必要です。
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【受付終了】オーブン絵付け体験 トラのはしおきを作ろう!

  • 日時:2022年1月15日(土)午前コース 10:00~12:45、 午後コース 13:00~15:45
  • 講師:陶芸指導員
  • 場所:エントランス棟1階 工房・展示棟
  • 定員:午前コース・午後コース 各20名(小学生優先) (事前申込み制・応募者多数の場合は抽選 ※結果は郵送)
  • 参加費:中学生以上 1,000円、小学生500円(材料費、焼成費等含む。)
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WEB申込はこちら

親子で楽しむ星空鑑賞会

  • 日時:2021年12月25日(土)15:30~18:30
  • 講師:小関高明氏(関西モバイルプラネタリウム代表)
  • 場所:当館研修棟1Fセミナー室、展示棟、 エントランス棟2Fレストランウッドデッキ
  • 定員:25名(事前申込制・先着順) ※小学生以下のお子様は保護者の方とご一緒にお申込みください。
  • 参加費:一般300円・大学生250円・高校生以下無料(展覧会鑑賞券付)
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◆ギャラリートーク:当館学芸員による展示解説

[日時]2021年12月18日(土)、2022年1月8日(土)、1月22日(土)、2月19日(土)

いずれも11:00より1時間程度(観覧券が必要です)

図録

210×210mm(A4変形版)  128ページ   ¥1500(税込)

*表紙は黄色・緑色の2色からお選びいただけます。

*いずれの表紙も図録の内容は同じです。

 

 


同時開催

テーマ展:2021年度著名作家招聘事業×テーマ展「八代 清水六兵衞展―陶を構築する」

2021年12月11日(土)~2022年2月27日(日)

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テーマ展:丹波焼の世界 season5

2021年3月13日(土)~2022年2月27日(日)

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