土と語る、森の中の美術館 兵庫陶芸美術館 The Museum of Ceramic Art, Hyogo

展覧会情報

会期:2016年10月22日(土)~2017年2月12日(日)

テーマ展2016年度 著名作家招聘事業 「林康夫-芸術への希求、陶で挑む」

《Form IV》 1997年 個人蔵

兵庫陶芸美術館では、国内外で活躍する著名な作家を招聘し、若き作り手たちに刺激を与えるとともに、幅広い人々により深く陶芸に親しんでいただくことを目的として、「著名作家招聘事業」を実施しています。第11回となる今回は、戦後、いち早く陶のオブジェを手掛け、88歳となる現在も意欲的に制作発表を続けている作家・林康夫氏(1928- )をお迎えします。

日本画を学んだ林氏は、戦後、父の家業を手伝うかたちで陶芸の道に入りますが、1947年、前衛的な陶芸制作を目指して京都で結成された「四耕会(しこうかい)」に創設メンバーとして参加。同時代のあらゆるジャンルの作家たちとの交流を通じて、新しい陶芸への思考を深めていきました。1948年、芸術性を重視し、非実用的な陶芸の可能性を示唆した《雲》を発表。さらに1950年、フランス・パリで開催された「現代日本陶芸展」に出品した《人体》が、オブジェとしての高い評価を受け、陶による独立した芸術を目指すことを決意します。この頃、林氏が強く惹かれていたのが、20世紀の絵画に革命を起こしたパブロ・ピカソ(1881-1973)の「キュビスム(立体派)」、そして、古墳時代の日本に見られる、直線と弧線が結合した独自の模様「直弧文(ちょっこもん)」でした。いずれも、立体や空間を把握する上で重要なヒントとなるこの二つを解析し、作品に展開していくことで、それまでの陶芸には見られなかった独自の造形へと向かいました。

1960年代から1970年代にかけて、焼締めによるシンプルな造形の中で厳しくフォルムを追求していきますが、少しずつ釉薬や白化粧などが施され、ある種の絵画性を帯びていきます。そして、1980年代初め頃から、見る者の錯視(さくし)を誘う魅惑的な立体へと展開し、二次元(平面)と三次元(立体)が複雑に交錯する、極めて独創的な作品が制作されました。黒化粧をベースとし、白い線や黒い釉薬の濃淡により奥行きや空間を描き出したこれらの作品は、四次元のイメージまで見る者の想像力を膨らませ、確かな存在感と驚きに満ちた造形へと陶芸を昇華させました。近年では、色やモティーフが加えられていき、《寓舎(ぐうしゃ)》という箱型のシリーズによって、さらなる新境地を見せています。

本展では、戦後の前衛陶芸の先駆けとなった《雲》(1948年)から最新作まで約40点を展観し、気鋭の作家・林康夫が生涯を掛け、陶で挑んだ芸術の世界に迫ります。

作家プロフィール

林康夫 Yasuo Hayashi

 

1928年 京都市生まれ

1947年「四耕会」に創設メンバーとして参加

1972年 ファエンツァ国際現代陶芸展グランプリ(イタリア)

1998年 京都市文化功労賞、数学とセラミックス展(ベルリン、ドイツ)

1999年 京都美術文化賞

2001年 オペラ「牡丹亭」の舞台美術担当(ニース、フランス)

概要

会期 2016年10月22日(土)~2017年2月12日(日)
休館日 月曜日、12月31日(土)、2017年1月1日(日)、1月2日(月)
(ただし、2017年1月9日(月・祝)は開館、1月10日(火)は休館)
開館時間 10月30日(日)まで 10:00 ~ 19:00
11月1日(火)から 10:00 ~ 18:00
(入館は閉館時間の30分前まで)
出品点数 43点
会場 兵庫陶芸美術館 展示棟 展示室3
観覧料

同時開催中の特別展の料金にそれぞれ含まれます。(特別展開催期間中はテーマ展のみをご覧いただくことはできません。)
「セラミックス・ジャパン 陶磁器でたどる日本のモダン」 
2016年9月10日(土)~ 11月27日(日) 一般 1000(800)円/大学生 800(600)円/高校生 500(400)円/中学生以下 無料
「やきものを分析する-釉薬編-」
2016年12月10日(土)~ 2017年2月12日(日) 一般 600(500)円/大学生 500(400)円/高校生 300(200)円/中学生以下 無料
※ただし、2016年11月29日(火)~ 12月9日(金)に限り、本展のみ開催
 一般 200(160)円/大学生 150(120)円/高校生 100(80)円/中学生以下 無料
※( )内は特別割引および20名以上の団体割引料金です。尚、本展のみの開催期間の前売券はありません。
○65歳以上は半額になります。
○障害のある方は半額、その介助者1名は無料になります。
○17時以降に観覧される場合は夜間割引料金(半額)になります。


主催
兵庫陶芸美術館、丹波新聞社
協力
和歌山県立近代美術館

主な出品作品

  1. 《雲》 1948年 未生流中山文甫会
  2. 《人体》 1950年 和歌山県立近代美術館
  3. 《Face》 1973年 和歌山県立近代美術館
  4. 《波形の如く3》 1985年 個人蔵
  5. 《Form IV》 1997年 個人蔵
  6. 《寓舎 その日》 2005年 兵庫陶芸美術館
  7. 《寓舎 記憶の表裏 B面》 2010年 個人蔵
  8. 《寓舎 物語》 2016年 個人蔵

関連企画

【終了しました】林康夫氏による展示解説

  • 日時:2016年10月29日(土) 11:00 ~ 12:00
  • 講師:作家  林 康夫氏
  • 場所:兵庫陶芸美術館 展示棟1F 展示室3
  • 参加費:無料(だたし観覧券の半券が必要です)
詳細はこちら

【終了しました】林康夫氏によるスライドレクチャー「林康夫 1948-2016」

  • 日時:2016年10月29日(土) 14:00 ~ 16:00
  • 講師:作家  林 康夫氏
  • 場所:兵庫陶芸美術館 研修棟1F セミナー室
  • 定員:100名(先着順・事前申込制)
  • 参加費:無料(だたし観覧券の半券が必要です)
詳細はこちら
詳細はこちら(PDF)
WEB申込はこちら

【受付終了しました】林康夫ワークショップ「林塾」

  • 日時:2016年11月5日(土)・6日(日) 全2日間      全日 10:30~16:00
  • 講師:作家  林 康夫氏
  • 場所:兵庫陶芸美術館 工房
  • 定員:15名
  • 参加費:無料(別途交流会での茶菓子代500円必要)
詳細はこちら
詳細はこちら(PDF)
WEB申込はこちら

gt02当館学芸員によるギャラリートーク

2016年11月13日(日)、11月27日(日)、12月18日(日)、

2017年1月15日(日)、1月29日(日)、2月12日(日)

いずれも11:00より(観覧券が必要です)

図録

182×270mm  16ページ   ¥300(税込)

 *展覧会会場にて販売中です。

 


同時開催

特別展:セラミックス・ジャパン -陶磁器でたどる日本のモダン-

2016年9月10日(土)~2016年11月27日(日)

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特別展:やきものを分析する-釉薬編-

2016年12月10日(土)~2017年2月12日(日)

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