土と語る、森の中の美術館 兵庫陶芸美術館 The Museum of Ceramic Art, Hyogo

展覧会情報

会期:2022年12月10日(土)~2023年2月26日(日)

テーマ展2022年度著名作家招聘事業×テーマ展 「矢部俊一展―空刻」

《想景》2017年 個人蔵

 兵庫陶芸美術館では、国内外で活躍する著名な作家を招聘し、若き作り手たちに刺激を与えるとともに、幅広い人々により深く陶芸に親しんでいただくため、2006年より「著名作家招聘事業」を実施しています。第17回となる今回は、ここ丹波とともに日本六古窯の一つに数えられ、土と焼成によるシンプルで原初的なやきもので知られる岡山・備前において、彫刻家として先鋭的な造形を追求する作家・矢部俊一氏(1968- )をお迎えします。
 岡山県備前市に生まれた矢部氏は、彫刻家を志し、名古屋芸術大学彫刻科に学びますが、1993年に帰郷して陶芸の道に入り、祖父・山本陶秀氏(1906-1994)、父・矢部篤郎氏(1941-2017)の指導を受けました。試行錯誤の末、備前の土と焼成による原初的で力強い造形を自身のルーツと捉え、そこに現代彫刻の技法と独自の造形思考を持ち込むことによって、これまでの備前にはない、鋭く緊張感のあるフォルムを追求していきました。「空刻(くうこく)」と名づけられたこれらの作品は、手捻りで成形後、暗闇の中で逆光によって浮かび上がる稜線や土肌を見極めながら、極限までシンプルにフォルムを削ぎ落として制作しています。そこに、褐色に焼き締まった備前の山土のざらりとした質感や、炎の流れによる微妙な色のグラデーションが加わることで、現代彫刻としても、備前焼としても、孤高の存在感を示すものとなっています。
 2015年の滋賀県立陶芸の森(信楽)での滞在制作を経て、備前の土のポテンシャルを再認識した矢部氏は、金、銀、パラジウムなどの金属を肌面に極薄く塗り、その下からほんのりと匂い立つ土の質感を強調することで、「無釉焼締」を信条とする備前に揺さぶりをかけ、新境地を拓いています。本展では、矢部氏の造形の変遷をゆるやかに辿るとともに、いま一度、「備前焼とは何か」を、そして、伝統を持つやきものの真価や可能性を問う機会とします。

作家プロフィール

矢部俊一

Yabe Shunichi

 

1968 岡山県備前市に生まれる

1992 名古屋芸術大学彫刻科卒業

1993 帰郷し、陶芸の道に入る

    祖父・山本陶秀、父・矢部篤郎の指導を受ける

2008 第51回日本伝統工芸中国支部展テレビせとうち賞

2010 第53回日本伝統工芸中国支部展広島県知事賞

    第25回国民文化祭美術展備前市長賞

2015 滋賀県立陶芸の森アーティスト・イン・レジデンス ゲスト・アーティスト

2016 備前×矢部俊一×信楽(滋賀県立陶芸の森 陶芸館ギャラリー)

2019-2020 The 備前-土と炎から生まれる造形美-(東京国立近代美術館工芸館ほか)

概要

展覧会名 矢部俊一展-空刻
Yabe Shunichi, carving a space
会期 2022年12月10日(土)~2023年2月26日(日)
休館日 月曜日、2022年12月31日(土)、2023年1月1日(日・祝)
※ただし、1月2日(月)、1月3日(火)、1月9日(月・祝)は開館し、1月4日(水)、1月10日(火)は休館
開館時間 10:00~18:00
※入館は閉館の30分前まで
会場 兵庫陶芸美術館 展示室1
観覧料
  個人
Individual
団体
Group
夜間(17:00~)
Evening
一般
Adult
¥600 ¥500 ¥300
大学生
University/College
¥500 ¥400 ¥250

同時開催中の特別展「教えて!兵庫陶芸美術館-収集と展示のQ&A-」の料金に含まれます。
(本展のみをご覧いただくことはできません。)

※本展のみの観覧券はありません。
※( )内は、20名以上の団体割引料金です。
※70歳以上の方は半額になります。
※障害のある方は75%割引、その介助者1名は無料になります。
※17:00以降に観覧される場合には、夜間割引料金になります。

・Theme Exhibition’s admission fee is included in Special Exhibition held at the same
time.
・Free admission for  High / Junior high / Elementary school students and Preschool-age children.
・Group : 20 or more people.(Show identification notebook for the disabled)
・Half price for visitors aged 70 or older. (Show identification proving your age)
・Discount admission for one with  disabilities, and free admission for one caregiver.
(Show identification notebook for the disabled)
・Evening discount admission: from 17:00.


主催
兵庫陶芸美術館、丹波新聞社

主な出品作品

1.《草吹》2015年 兵庫陶芸美術館

2.《閃光風》2015年        

3.《想景》2017年 個人蔵

4.《月山》2018年            

5.《岳雲》2021年            

6.《葉風》2022年            

7.《Ambient_01》(部分)2022年 

8.《UNTITLED》(部分)2022年

関連企画

【受付終了】矢部俊一展 —空刻 作家によるワークショップ 参加者募集

  • 日時:2023年2月11日(土・祝)13:00~16:00
  • 講師:矢部 俊一 氏
  • 場所:当館エントランス棟工房
  • 定員:15名
  • 参加費:3,000円(材料費、作陶指導料、焼成費、観覧料等を含む。)
詳細はこちら
詳細はこちら(PDF)
WEB申込はこちら

2022年度著名作家招聘事業プログラム

 

矢部俊一氏による展示解説

2023年2月11日(土・祝)11:00~12:00

会場 当館展示棟地下1階 展示室1

事前申込み不要、参加費無料(ただし観覧券が必要です)

 

◆矢部俊一展 —空刻 作家によるワークショップ

 詳細は、上記の通り

 

※各イベントに関する詳細についてはお問い合わせ下さい。

 

当館学芸員によるギャラリートーク

[日時]2023年1月15日(日)、2月12日(日)、2月26日(日)

  いずれも11:00から(観覧券が必要です)

都合により1月15日(日)の当館学芸員によるギャラリートークは中止します。

図録

270×182mm(A5変形版)  15ページ   ¥500(税込)


同時開催

特別展:教えて!兵庫陶芸美術館―収集と展示のQ&A―

2022年12月10日(土)~2023年2月26日(日)

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テーマ展:丹波焼の世界season6

2022年3月12日(土)~2023年2月26日(日)

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